【獣医学生が分析】2026年度 日獣 獣医学科・一般選抜の傾向と対策・勉強法を解説

こんにちは!獣医専門オンライン予備校のベレクトです。

2026年度・日本獣医生命科学大学獣医学科の一般選抜に向けて、合格点の目安や教科ごとの傾向が気になっている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、日本獣医生命科学大学獣医学科の一般選抜において求められる得点ラインや、英語・数学・理科の出題傾向について、過去問と合格点の分析をもとに詳しく解説ます。

担当するのは、当塾講師として受験指導に携わる現役の獣医学部生

自身の体験をふまえながら、効果的な勉強法までわかりやすくお伝えします。

日本獣医生命科学大学獣医学科を目指す受験生は、ぜひ参考にしてください!

本記事の結論
  • 共通テスト利用は合格のチャンス
  • 一般選抜は1回目を受験
  • 典型的な問題もありつつ、個性がある独自試験
執筆協力

北海道大学 獣医学部 3年生。当予備校の講師として活躍中。

前期試験で現役合格(共通テストで8割超え)を果たし、ベレクトは数学・生物・化学・英語を指導。これまでに北海道大学など、複数の獣医学部合格者を輩出しています。

自身の受験経験と豊富な指導実績をもとに、最新の入試傾向の分析や、実践的な勉強法について、当サイトのコンテンツ執筆にも携わる。

(2025年 執筆時)

本記事を監修する専門家

塾長/獣医師 上井 獣医師。東京農工大学農学部獣医学科卒。獣医学生向けオンライン予備校「ベレクト」代表。自身の受験経験と臨床現場での知見を活かし、獣医学部受験に特化したオンライン指導を展開。多数の合格者を輩出している。

2026年度 日本獣医生命科学大学獣医学科「一般選抜」入試の全体像

日本獣医生命科学大学獣医学科の一般選抜はⅠ期とⅡ期があり、その中で共通テスト利用選抜一般選抜があります。

2026年度【方式別】一般選抜の定員・入試科目・配点おさらい

共通テスト利用選抜

日程定員内容
Ⅰ期4名3教科4科目(300点満点)
Ⅰ期[4教科]4名4教科5科目(500点満点)
【国語】100点
【英語】100点
【数学】100点
【理科】200点
※参照元:令和8年度入学者選抜要項 獣医学部 応用生物科学部(日本獣医生命科学大学)

共通テスト利用選抜には3教科と4教科の2種類があります。

英語はリーディングを80点満点、リスニングを20点満点にして換算するので、リーディングを得意にしておきましょう。

4教科の場合、国語は古典を含まず、近代以降の文章の110点満点を100点に換算します。

4教科の理科は生物、化学、物理の3科目から2科目を選択します。

一般選抜

日程定員内容
Ⅰ期B日程42名3教科3科目(300点満点)
Ⅰ期C日程10名3教科4科目(300点満点)
【共テ英語】100点
【共テ数学】100点
【理科】100点 ※化学 生物から1科目
Ⅱ期5名3教科3科目(300点満点)
【英語】100点
【数学】100点
【理科】100点 ※化学 生物 総合から1科目
※参照元:令和8年度入学者選抜要項 獣医学部 応用生物科学部(日本獣医生命科学大学)

一般選抜は3回実施され、2回は大学独自試験、1回は独自試験と共通テストの併用です。

共通テストと異なり、理科は化学と生物の2択となるので気をつけてください。

Ⅱ期の理科には2026年度から「総合」が選択科目として加わります。

「総合」は「資料を読み解き内容を的確に把握した上で自らの考えを表現する記述問題」と説明されています。

初の実施となるので詳細は不明ですが、理科の選択科目になっていることから、理科に関する時事問題や理科史が出題されるものと思われます。

【傾向分析】方式ごとの合格倍率

日本獣医生命科学大学は合格最低点について公表していません。

合格倍率については以下のようになります。

年度合格倍率(受験者/合格者)
2025年・共通テスト利用
 L第1回(3教科):6.8倍
 L第1回(4教科):5.3倍
・一般
 L第1回(独自):6.8倍
 L第2回(併用):4.0倍
 L第3回(独自):19.8倍
2024年・共通テスト利用
 L第1回(3科目):7.1倍
 L第1回(5科目):4.4倍
・一般
 L第1回(独自):7.0倍
 L第2回(併用):2.9倍
 L第3回(独自):37.8倍
2023年・共通テスト利用
 L第1回(3科目):6.7倍
 L第1回(5科目):6.8倍
・一般
 L第1回(独自):7.9倍
 L第2回(併用):3.9倍
 L第3回(独自):18.1倍
2022年・共通テスト利用
 L第1回(3科目):7.6倍
 L第1回(5科目):4.7倍
・一般
 L第1回(独自):6.9倍
 L第2回(併用):3.9倍
 L第3回(独自):19.0倍
2021年・共通テスト利用
 L第1回(3科目):15.8倍
 L第1回(5科目):8.4倍
・一般
 L第1回(独自):6.8倍
 L第2回(併用):4.0倍
 L第3回(独自):18.1倍
※参照元:入試結果(日本獣医生命科学大学)

共通テスト利用は案外倍率が低い

共通テスト利用の倍率を見ると、どちらの方式であっても、基本的に倍率が10倍に達していないことが分かります。

定員は1方式4名ですが、例えば2025年度では54名の合格者を出していることからも、滑り止めを想定して多めに合格者を取っています。

都内のアクセスが良い場所に立地し、私立獣医の中で一番高い偏差値を誇ることを鑑みると、この倍率はチャンスがあると捉えられるでしょう。

一般選抜は第1、2回が勝負

一般選抜は例年、第3回目の倍率が18倍近くなっています。

第1回目、2回目は倍率がそれなりに落ち着き、特に第2回目は年によっては3倍を切ることもあります。

また共通テスト利用と同じく多めに合格者を取っています。

第1回目は必ず出願し、共通テストの点数(英語と数学)が良い場合は第2回も出願しておくと安全です。

【教科別】合格点や過去問から入試の傾向と勉強法を解説

募集定員がもっとも多い、第1回について解説します。

英語

年度問題構成
2025年非公表
2024年大問1:長文(穴埋め 指示説明 内容一致 アクセント)
大問2:文法問題(穴埋め 単語変形 並び替え)
2023年大問1:長文(穴埋め 指示説明 内容一致 アクセント)
大問2:文法問題(穴埋め 単語変形 並び替え)
2022年大問1:長文(穴埋め 指示説明 内容一致 アクセント)
大問2:文法問題(穴埋め 単語変形 並び替え)
※参照元:『大学赤本シリーズ 日本獣医生命科学大学』(教学社)

問題構成

試験時間は60分、大問は2つです。

長文問題では穴埋めで適切な語句を入れたり、支持語や内容の説明が課されます。

またアクセント問題も3問ほど出題されています。

文法問題は単純な選択問題ではなく、頭文字を与えられて適切な語句を挿入する問題、単語を変形する問題、単語の並び替え問題が出題されます

難易度

試験時間は十分にありますが高得点を狙うとなると語彙力がかなり試されます。

長文問題はよくある典型的な問題形式です。

ただしアクセント問題に関しては、センター試験では出されていたものの、共通テストでは出されなくなったので、あまり勉強していない受験生も多いでしょう。

文法問題のうち、頭文字を与えられて適切な語句を挿入する問題は、同じ意味の英単語でも、複数の言い換えを知っていないと太刀打ちできないでしょう。

対策

長文問題は設問を先に読んで、読み進めながら答えを見つけるられるようになると、時短になります。

アクセント問題は基本的には「名前動後」のルールがあります。

これは名詞はアクセントが前に多く、動詞は後に多いというものです。

したがって覚えるときはこの「例外」を意識するようにしましょう。

最初のうちはあえて文字の上に「´」を打つと効果的です。

文法問題は1対1で英単語を覚えるのではなく、複数の言い換えを意識するようにしましょう。

数学

年度問題構成
2025年非公表
2024年大問1:図形 三角関数
大問2:不等式 
大問3:微分 解と方程式
大問4:確率漸化式(数列)
2023年大問1:小問集合(大小関係 図形 三角関数 データの分析 確率)
大問2:二次関数と方程式 積分
大問3:ベクトル
大問4:整数
大問5:数列
2022年大問1:小問集合(大小関係 確率 接線 対数方程式 整数)
大問2:図形の性質8(相似 内心)
大問3:ベクトル
大問4:数列
大問5:積分
※参照元:『大学赤本シリーズ 日本獣医生命科学大学』(教学社)

問題構成

試験時間は60分、大問は4~5つです。

単純な計算問題や典型的な問題もありますが、中には遺伝学や薬理学とからめた数列の文章題などもあります。

難易度

基礎的計算、典型的な問題が多いため計算ミスをしなければ高得点が期待できます。

ただし、先述したような文章題は問題の意味を理解し、誘導に乗って解く必要があるので慣れていないと不安になるかもしれません。

対策

教科書の章末問題や傍用参考書、網羅系参考書を用いて典型問題の解法をマスターしましょう。

とくに図形の性質の相似や内心を求める問題や、データの分析など、国公立大学の二次試験で出題されにくい単元が問われることもあるので、併願として受験する場合は注意しましょう。

理科

化学

年度問題構成
2025年非公表
2024年大問1:理論(元素の性質)
大問2:理論 無機(水溶液計算 浸透圧 物質の燃焼 物質の製法 活性化エネルギー)
大問3:小問集合(水溶液計算 溶解度計算 蒸気圧 結晶格子 アセチレンの製法 溶融塩電解)
大問4:理論化学(酸素分圧 気体の溶解)
大問5:有機(アミノ酸配列同定)
2023年大問1:小問集合(物質の分類 原子番号の規則性 酸化数 半減期 酸化還元)
大問2:理論(反応速度定数 平衡定数)
大問3:無機(金属イオンの同定)
大問4:有機(合成高分子化合物)
大問5:理論(結晶格子 物質の間にはたらく力 融点)
2022年大問1:小問集合(物質の性質 原子と周期表 物質間の結合 アボガドロ定数)
大問2:理論(浸透圧)
大問3:無機 有機(鉄 元素分析 芳香族化合物の分離 重合)
大問4:無機(ハーバー・ボッシュ法 オストワルト法)
大問5:理論(炭化水素の燃焼熱)
※参照元:『大学赤本シリーズ 日本獣医生命科学大学』(教学社)

問題構成

試験時間は60分、大問は5つです。

理論化学、無機化学、有機化学の3分野とも必ず出題されていますが、最近は融合問題も多いです。

また理論化学は、計算だけでなく、元素や結晶格子、物質の分類、原子番号にみられる規則性など「化学基礎」で扱われる基礎的な知識も問われます。

無機化学や有機化学は典型的な問題のほかに、理由を記述する問題なども出題されます。

難易度

試験時間は手際よく解いていれば足りないことはなさそうです。

問題も典型的な問題や、教科書に則った知識が多いです。

先述した理論化学の基礎知識に関しては、高3など計算演習が多くなってくると手薄になりがちなので、苦戦することがないようにしましょう。

しかし後述する通り、公式を丸暗記しているだけでは高得点は期待できないです。

対策

難しい計算はそこまで出ないので、教科書の公式を使いこなせるようにし、公式と同時にその意味や理屈(たとえば平衡が右に移動する条件についてなど)も覚えましょう。

無機化学や有機化学は典型的な問題が解けるようになったら、難易度が難しい問題に挑むよりも、化学式の意味(たとえば実験室でナイロン66を合成する場合にアジピン酸ではなくアジピン酸ジクロリドを使う理由など)を頭に入れましょう。

生物

年度問題構成
2025年非公表
2024年大問1:ニューロン チャネル
大問2:生態系 物質収支
大問3:ラクトースオペロン プラスミド
大問4:減数分裂 染色体地図 組換え価
大問5:呼吸経路
2023年大問1:顕微鏡
大問2:脳 自律神経 ニューロン イオンチャネル アメフラシの鰓ひっこめ反射
大問3:生物の系統分類 二名法
大問4:細胞小器官 細胞間結合
大問5:生態系 種間関係
2022年大問1:自律神経 ホルモン フィードバック調節
大問2:生態系 標識再捕法 個体群密度 物質生産収支 血縁度
大問3:生態系 窒素循環 自然浄化
大問4:呼吸経路 呼吸商
※参照元:『大学赤本シリーズ 日本獣医生命科学大学』(教学社)

問題構成

試験時間は60分、大問は4-5つです。

幅広く出題されていますが、特に生態系、物質生産収支、ニューロン、呼吸といった範囲は頻出です。

生態系は年によっては大問2つを占めている場合もあります。

難易度

知識は教科書に則っていますが、記述問題は対策しないと手こずるかもしれません。

また生態系は「生物基礎」にも「生物」にも載っていますが、知識が薄くなりがちな単元なので頭に入っていないと苦戦するでしょう。

余談ですが、生態系や進化といった知識は英語の長文問題でしばしばテーマにされるので(物理や化学よりはテーマになりやすいです)、正しい知識を持っておくと多少有利になるでしょう。

対策

記述問題に挑むためには用語を知識として知っているだけでは不十分です。

一通り知識が定着したら、難しい問題集を解き進めるのではなく、教科書に書いてあることを自分の力で記述できるように練習しましょう。

例えば、「アメフラシの鰓ひっこめ反射」という言葉を覚えるのではなく、それがどのような実験で確かめられ、どのような神経経路が関与しているのか、を自分で説明できるようにしましょう。

共通テスト利用方式の特徴と戦略

先述した通り、共通テスト利用は偏差値と好立地の割には倍率が低いです。

合格最低点が公表されていないため難しいところですが、8割以上の得点があれば出願してみる価値はあるでしょう。

【まとめ】日本獣医生命科学大学獣医学科で合格を勝ち取るためのポイント

日本獣医生命科学大学獣医学科は私立獣医の中では偏差値トップ、アクセスも良好な人気大学です。

ハイレベルで高得点を取ることが求められますが、教科書に準じた知識や計算技能を持っていれば十分に対応できます。

また他の私立獣医よりも倍率が落ち着いており、入試日程によっては、倍率がかなり低くなります。

適切な日程で受験することで合格する確率を上げることができるでしょう。

この記事を書いた人

ベレクト運営事務局

獣医専門オンライン予備校「ベレクト」のなかの人。塾長を除く、講師全員が現役獣医学生。塾長ももちろん獣医師。講師数は現在100名超え。講師がコラムの執筆にも関わっており、獣医学部合格者の実体験をもとにした情報発信を行なっております。