こんにちは!獣医専門オンライン予備校のベレクトです。
この記事では2025年度、大阪公立大学獣医学部の一般選抜について(入試の傾向や対策・勉強法)、解説をしていきます。
2025年度 大阪公立大学獣医学部「一般選抜」の入試科目・必要科目おさらい
一般選抜前期
内容 | |
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募集人数 | 35名 |
試験内容 | ・共通テスト:6教科8科目 ・個別学力試験:3教科4科目 |
共通テストの科目 | 850点満点 【国語】200点 【社会】100点 【数学】200点 【理科】100点 ※物理 化学 生物 地学から2科目選択 【外国語】200点 ※英 独 仏 中 韓から1科目選択 【情報】50点 |
個別学力検査の科目 | 700点満点 【理科】300点 ※物理 化学 生物から2科目選択 【数学】200点 【外国語】200点 ※リスニングなし |
大阪公立大学の獣医学部は、前期日程しかありません。一発勝負です。
定員は35名と多めですが、チャンスが1回しかないと考えるとやはり狭き門です。
共通テストと個別学力検査の配点が半々とはいかなくてもあまり差がないのが特徴です。共通テストは理科の点数が200点ではなく100点に圧縮されます。
個別学力検査では共通テストで理科が圧縮された分、理科の配点が大きくなっています。獣医系の大学の数学では数Ⅲが試験範囲になっていないことはほとんどですが、大阪公立大学では数Ⅲまで出題されます。
共通テストと個別学力検査で配点にあまり差がないとはいえ、共通テストの点数は基本的に圧縮されないのでなるべく得点を稼いでおくことが重要でしょう。
【分析】合格にはどれくらいの得点が必要?
大阪公立大学が発表している、2021~2024年度の合格最低点・倍率は以下の通りです。
年度 | 合格最低点 | 合格平均点 | 最高点 | 合格倍率 (受験者数/合格者数) |
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2024年 | 990.5/1500 | 1041.91/1500 | 1138/1500 | 4.1倍 |
2023年 | 931.5/1500 | 1031.41/1500 | 1208.5/1500 | 4.0倍 |
2022年 | 1008/1500 | 1091.77/1500 | 1219/1500 | 3.1倍 |
倍率は年々上昇していることが伺えます。
合格最低点や平均点は年によって差がありますが6割5分~7割におさまっています。8割はなかなか取れなそうですが、7割は決して安全圏ではなさそうです。
それでは共通テストと個別学力検査ではそれぞれどれくらいの得点が必要なのでしょうか。
共通テストではどれくらいの得点が必要?
年度 | 最低点 | 平均点 | 最高点 |
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2024年 | 584.5/800 | 635.73/800 | 691.5/800 |
2023年 | 561/800 | 622.66/800 | 701/800 |
2022年 | 541.5/800 | 604.51/800 | 662.5/800 |
共通テストの得点を見ると最低点は7割強、平均点は8割弱であることが分かります。
先述した通り理科(2025年度からは情報も)以外は素点のまま得点に換算されるので差がつきやすいでしょう。
個別学力検査ではどれくらいの得点が必要?
年度 | 最低点 | 平均点 | 最高点 |
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2024年 | 322/700 | 406.18/700 | 483.5/700 |
2023年 | 345.5/700 | 408.76/700 | 507.5/700 |
2022年 | 428.5/700 | 487.26/700 | 578/700 |
最低点は約5~6割、平均点6~7割であり、共通テストよりは得点率が低いことが伺えます。
個別学力検査は最高点でも7割強(年によっては8割ですが)なので、高得点を狙うよりは得点できるものを得点することが重要になります。
【教科別】合格点や過去問から入試の傾向と勉強法を解説
ここからは、各教科の出題傾向とそれに合った勉強法を解説していきます。
数学
年度 | 問題構成 |
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2024年 | 大問1:微分法 積分法 極限 大問2:複素数平面 大問3:微分法 積分法 大問4:整数の性質 |
2023年 | 大問1:確率 数列 大問2:複素数平面 大問3:積分法 極限 大問4:整数の性質 |
2022年 | 大問1:極限 微分法 積分法 大問2:確率 数列 大問3:整数の性質 複素数平面 大問4:三角関数 微分法 |
試験時間は120分で大問は4つです。
1問あたり30分かけられる計算ですが難易度が手強い問題が多いので時間に余裕があるとは言えません。
証明問題や計算が複雑な問題などが多いですが、典型問題な問題もあるので得点できる問題は確実に得点しましょう。
試験範囲は微分法や積分法は毎年のように出題されていますが、比較的満遍なく出題されています。1問あたり50点の配点があるので苦手な分野を作らないようにしましょう。
対策としてポイントになるのが計算力と証明力です。計算力は一朝一夕に身に付くものではないので、教科書傍用の問題集を繰り返し解く、制限時間時間を意識して問題を解くなど普段からの取り組みが重要です。
証明問題は苦手とする受験生が多いと思います。最初のうちはどのように証明したらよいのかわからないことが大半ですが、数をこなしていくうちに似たような問題を解いた経験から証明方法が分かってきます。背理法と数学的帰納法は必ずマスターしましょう。
英語
年度 | 問題構成 |
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2024年 | 大問1:読解(空欄補充 内容説明 英文和訳 内容真偽) 大問2:読解(同意表現 内容説明 空欄補充 語順整序 内容真偽) 大問3:英作文(和文英訳) |
2023年 | 大問1:読解(内容説明 空欄補充 同意表現 英文和訳 内容真偽) 大問2:読解(英文和訳 語順整序 空欄補充 内容真偽) 大問3:英作文(和文英訳) |
2022年 | 大問1:読解(空欄補充 内容説明 語順整序 英文和訳 内容真偽) 大問2:読解(語順整序 空欄補充 英文和訳 内容説明 内容真偽) 大問3:英作文(和文英訳) |
試験時間は100分で大問は3つです。大問の配点は2:2:1と言われています。
問題の難易度は標準的~やや難で、やはり時間との勝負になるでしょう。
読解は2問出題されますが、分量が多いので要領よくこなすことが求められます。先に設問を読むなどして時間を有効活用しましょう。設問の中には本文中からの抜き出しや空欄補充を課すこともあるので後で見つからないなどといったことがないようにしましょう。
英作文では和文英訳が課されます。和文英訳のために作られた和文ではなく、実際に存在する書物や雑誌から抜粋してきているので、逐一訳すのではなく、どの表現や文法を用いるべきか判断が求められます。
対策として読解問題は読むスピードと精度を両立できるようにしましょう。最初はスピードを出すと精度が落ち、精度を求めると時間がかかり、そのループから抜け出しにくいですが、普段から所要時間をメモする、間違えるパターンを分析するといった地道な学習をすることで少しずつ読解の精度が上がります。
和文英訳は書くことはもちろんですが、英訳を口に出す練習をしましょう。書くより口に出した方が早いですし、いくつか使う文法の候補を試せます。1つだけでなく複数解答を考えることで、次回以降の糧になるでしょう。
理科
理科は2科目で150分です。
化学
年度 | 問題構成 |
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2024年 | 大問1:有機(高分子化合物) 大問2:理論(電気分解 平衡電離 弱酸) 大問3:理論(電子配置 結晶格子 酸化剤 凝固点降下) |
2023年 | 大問1:有機(アルコール エステル) 大問2:理論(電子式 熱分解 溶解度積 加水分解定数) 大問3:理論(同位体 混合気体の燃焼 イオン結晶) |
2022年 | 大問1:無機(周期表 硫黄 鉄 アルミニウム) 大問2:理論(二酸化炭素の状態図 化学平衡の量的関係) 大問3:有機(芳香族アミン ジカルボン酸) |
大問ごとの配点は必ずしも1:1:1ではありません。
全体として理論化学のウェイトが大きく年によっては大問2つを占めています。有機化学もアルコールやエステル、芳香族、高分子化合物と幅広く出題されています。無機化学は単体で出題されることは少なく、大抵理論化学との融合問題として出題されています。
難易度は標準的と言われていますが、分量がある上初見の問題(典型問題ではないもの)や思考力が試される問題も多いので、理屈から理解していないと厳しいでしょう。
教科書や資料集を基に出題されていますが、相当読み込むことが求められます。太字の化学式や化学反応を暗記するのはもちろん、実験の手順や実験器具の意味、操作に意味など細かいところも見ましょう。
対策としてはまず学校や予備校の授業で知識を吸収した後も分からないことがあれば教科書に戻る習慣をつけましょう。問題集の解答に情報が載っているかもしれませんが、その問題集が終わればその解答冊子はあまり見なくなりますよね。情報は教科書やノートなどに集約させましょう。
最初は教科書傍用も問題集を繰り返し、慣れてきたら標準問題精講や重要問題集など実践的な問題に取り組みましょう。
問題を解く時は立式が簡潔か、問題になっていない箇所であってもその理屈や反応を説明できるか意識すると良いですね。
物理
年度 | 問題構成 |
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2024年 | 大問1:力学(斜面運動 衝突 単振動) 大問2:電磁気(直列回路 コンデンサー 電流) 大問3:熱力学(気体分子の運動 ピストン) |
2023年 | 大問1:力学(衝突 反発係数 鉛直投射) 大問2:電磁気(コンデンサー 電気容量) 大問3:波動(ドップラー効果) |
2022年 | 大問1:力学(滑車) 大問2:電磁気(コイルの自己誘導) 大問3:波動(弦 気柱の共鳴 開口補正端) |
大問は3つで力学と電磁気は毎年、残りの1問は波動か熱力学が出題されています。原子も他大学では必答で出題されることがあるので油断しないようにしましょう。苦手な分野を作らないことが重要です。
基本的には計算過程も含めて記述式なので簡潔に計算式を書けるように練習しておきましょう。解答欄によっては細かい計算は別途計算用紙に書いた方が良いこともあります。
問題の難易度は標準的ですが大問の中の小問で難易度に差があるので一概には判断しにくいです。公式の丸暗記では乗り切れないので普段から理屈を考えるよう心がけましょう。
特に難易度が低いうちはあまり理解できていなくても、特定の作業を繰り返すことで正解してしまう場合があります。学年が上がって受験が近づいてから基礎が軟弱だったことに気が付くのはなかなか厳しいので、そのようなことにならないためにも簡単だからと油断せず完璧に理解できているか疑う習慣をつけましょう。
問題演習の対策としてはなるべく多くの問題にあたりましょう。他の国公立大学の過去問や重要問題集などを解き実験パターンや設問パターンをある程度覚えてしまうのも手です。
生物
年度 | 問題構成 |
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2024年 | 大問1:総合問題(免疫 神経 ホルモン) 大問2:植物の反応 大問3:生態 大問4:進化・系統 |
2023年 | 大問1:遺伝情報 大問2:生殖・発生 植物の反応 大問3:動物の反応 代謝 大問4:生態 |
2022年 | 大問1:遺伝情報 大問2:植物の反応 大問3:動物の反応 大問4:進化・系統 生態 |
大問は4つで満遍なく出題されていますが動物の反応と進化・系統は比較的多く出題される傾向にあります。進化・系統はどこまで覚えるべきかなど難しい単元ですが、基本的には入試問題や過去問に登場するキーワードは押さえるようにしましょう。用語も大事ですが、具体的に何がどの現象や理論に該当するのかわかるようになることも大切です。
計算問題、グラフ、論述問題などが多く大問あたりの時間配分に気をつけましょう。分量を考慮すると難易度は標準よりやや難しい方に入ります。完答するには慣れが必要なので過去問演習や問題集で問題に多くあたるようにしましょう。
対策として重要問題集など総合的な入試問題集に加え、計算やグラフに特化した問題集(大森シリーズなど)も活用すると良いですね。
また教科書に加え資料集も積極的に活用しましょう。教科書を読まずにいきなり資料集を読むのはなかなか情報の取捨選択が難しいですが、一度教科書を読んだ後その知識を補強するように資料集を活用することでより理解を深める事ができます。
生物の問題は知識量がある程度ものを言うので、その実験を知っているか、その背景情報を知っているかが左右します。
新課程による影響
新課程移行に伴い変更点が2つあります。
共通テストの情報
共通テストで情報が追加されたことで共通テストが800点満点から850点満点になります。
個別学力検査の数学
新課程移行に伴い数学の出題範囲は以下のようになります。
- 数学Ⅰ:全範囲
- 数学A:全範囲
- 数学Ⅱ:全範囲
- 数学B:「数列」
- 数学Ⅲ:全範囲
- 数学C:「ベクトル」「平面上の曲線と複素数平面」
大学によっては新課程移行に伴い数学Aの整数が除外されていますが、募集要項を読むかぎり整数が除外されるとは書いていないため出されないとは言い切れません。整数は証明問題が多いので注意しましょう。
まとめ
今回は大阪公立大学の対策と傾向についてご紹介しました。
前期日程しかチャンスがない上に問題も手強いものが多いですが、地道に基礎から積み上げていけば合格を目指すことができるでしょう。先述した通り易問高得点型ではないので自分が得点できる問題を確実に得点できるようになりましょう。
べレクトでは全国の獣医系大学の現役獣医学生講師が志望校合格ために指導を行っています。獣医系大学は入試情報が少なくいですがべレクトの講師もかつては受験生だったので自分たちの経験を生かしてアドレスをしています。
獣医に少しでも興味がある、獣医学部に行きたいけどどのような勉強をしたらよいのかわからない、という方はぜひ一度ご相談ください。