こんにちは!獣医専門オンライン予備校のベレクトです。
この記事では2025年度、山口大学共同獣医学部の一般選抜について(入試の傾向や対策・勉強法)、解説をしていきます。
2025年度 山口大学共同獣医学部「一般選抜」の入試科目・必要科目おさらい
一般前期
内容 | |
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募集人数 | 21名 |
試験内容 | ・共通テスト:5教科7科目 ・個別学力試験:2教科2科目 |
共通テストの科目 | 1000点満点 【国語】200点 【社会】100点※ 【数学】200点 【理科】200点 物理 化学 生物 地学から2科目を選択 【外国語】300点 英 仏 独 中 韓から1科目選択 【情報】100点※ ※社会の「地歴」、「公民」と情報の2教科3科目から1科目を選択 |
個別学力検査の科目 | 400点満点 【数学】200点 【理科】200点 物理 化学 生物 地学から1科目を選択 |
前期日程の定員は21人と比較的多めです。共通テストを課すのは他の国立大学と変わらないのですが社会と情報のどちらかを選択できるのが特徴です。社会が苦手、社会の暗記まで手が回らない人は情報で勝負することもできます。
また共通テストのリーディングとリスニングの合計は素点200点ですが、リーディングを240点満点リスニングを60点満点に換算します。個別学力検査で英語が課されない分共通テストでの英語のウェイトが大きくなっています。
共通テストは基本的に素点が反映され、個別学力検査よりも配点が大きいので共通テストで点数を稼いでおくことが重要になるでしょう。
理科は共通テストでも個別学力検査でも物理、化学、生物、地学が選択肢にあります。個別学力検査の方でも地学を認めている大学は少ないので地学を勉強している受験生は必見です。
一般後期
内容 | |
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募集人数 | 6名 |
試験内容 | ・共通テスト:4教科6科目 ・個別学力検査:面接 |
共通テストの科目 | 900点満点 【国語】100点 【数学】200点 【理科】400点 【外国語】200点 |
個別学力検査 | 200点満点 |
後期日程は共通テストの理科のウェイトが大きくなります、逆に国語は圧縮されるので理系科目を重視していると言えるでしょう。
個別学力検査では筆記試験は実施されず面接で合否を決定します。面接対策としてアドミッションポリシーや山口大学の共同獣医学科の特徴などをしっかりと調べましょう。
また前期と後期で共通テストの用いられ方がかなり異なるのでヤマを張ることはせず、どの教科・科目でも点数を取っておくことが重要でしょう。
【分析】合格にはどれくらいの得点が必要?
山口大学が発表している、2020~2024年度の合格最低点・倍率は以下の通りです。
年度 | 合格最低点・合格倍率(受験者数/合格者数) |
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2024年 | 【一般前期】 合格者最低点:1118/1400 合格倍率:2.9倍 【一般後期】 合格者最低点:非公開 合格倍率:5.5倍 |
2023年 | 【一般前期】 合格者最低点:1078/1400 合格倍率:2.8倍 【一般後期】 合格者最低点:非公開 合格倍率:6.9倍 |
2022年 | 【一般前期】 合格者最低点:1035/1400 合格倍率:3.9倍 【一般後期】 合格者最低点:非公開 合格倍率:6.8倍 |
2021年 | 【一般前期】 合格者最低点:1065/1400 合格倍率:2.8倍 【一般後期】 合格者最低点:非公開 合格倍率:4.3倍 |
2020年 | 【一般前期】 合格者最低点:1106/1400 合格倍率:3.7倍 【一般後期】 合格者最低点:非公開 合格倍率:3.6倍 |
前期の合格最低点は例年7割5分と高いです。合格倍率も約3~4倍を推移しており競争も厳しいことが伺えます。
後期は合格者が少ないため最低点は非公開になっていますが、2021年以降は毎年倍率が4倍を超えているため前期以上に競争が厳しいでしょう。
共通テストと個別学力検査の比重はどうでしょうか。2024年度の前期日程のデータが大学ホームページ上に公開されていたので抜粋して紹介します。
最高点 | 平均点 | 最低点 | |
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共通テスト | 915/1000 | 810/1000 | 759/1000 |
個別学力検査 | 392/400 | 358/400 | 323/400 |
総合得点 | 1280/1400 | 1168/1400 | 1118/1400 |
2024年度は情報が導入されていないので社会の受験が必須だった点で、2025年度と異なりますが共通テストが1000点満点であったことに変わりはありません。
2024年度は共通テストの最低点が7割5分にも関わらず総合得点の最低点は約8割となっており、個別学力検査の得点率が重要であることが分かります。
個別学力検査は最低点でも8割を超えているため点数配分的には共通テストの方が大きいですが、個別学力検査まで勝負はつかないでしょう。
【教科別】合格点や過去問から入試の傾向と勉強法を解説
ここからは、各教科の出題傾向とそれに合った勉強法を解説していきます。
各教科の出題傾向は、受験人数が多い前期入試を基に分析を行いました。
数学
年度 | 問題構成 |
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2024年 | 大問1:整数 不等式 大問2:ベクトル 図形と方程式 大問3:対数 領域 大問4:微分法 積分法 |
2023年 | 大問1:積分 大問2:ベクトル 大問3:整数 大問4:高次方程式 |
2022年 | 大問1:微分法 大問2:式と証明 大問3:数列 大問4:ベクトル |
2021年 | 大問1:ベクトル 大問2:2次関数 大問3:確率 大問4:図形と計量 |
2020年 | 大問1:図形と計量 大問2:データの分析 大問3:確率 大問4・微分法 積分法 |
試験時間は120分で大問は4つです。200点満点であるため大問1つあたり50点です。時間には比較的余裕があるでしょう。
難易度は標準的ですが大問1つあたりの配点が大きいので小問の序盤で間違えると五月雨式に失点をするおそれがあります。油断せずに慎重に解きましょう。
年によってどの範囲が出題されるか幅がありますがベクトルに関しては毎年のように出題されています。
対策として標準的な入試問題を確実に得点できるようにしましょう。証明や図示を課されることもあるため低学年の時から解答を丁寧に作成する習慣をつけておくと良いです。
また先述した通り大問は小問から構成されているため、小問の誘導の意味を考えながら解くようにしましょう。小問はいわば解答にたどり着くためのヒントです。なぜこれを聞かれているのか理解すると最後の問題も得点できるようになります。
小問の誘導に乗るには模試の解き直しや過去問演習(場合によっては傾向が似ている他大学も)を繰り返しましょう。最初は分からなくても続けていれば手が動くようになります。
理科
化学
年度 | 問題構成 |
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2024年 | 大問1:無機(地殻に含まれる元素) 大問2:理論(化学平衡) 大問3:理論(酸化還元) 大問4:有機(芳香族化合物) 大問5:有機(タンパク質 糖類) |
2023年 | ー |
2022年 | 大問1:理論(結晶の構造) 大問2:理論(堆肥に含まれるNの定量) 大問3:理論(水の状態変化と熱エネルギー) 大問4:有機(芳香族化合物の性質) 大問5:有機 理論(酵素の性質と反応速度) |
2021年 | 大問1:理論(水和物の熱分解 イオン結晶) 大問2:理論(酸化還元反応) 大問3:有機(芳香族化合物 アニリン 芳香族化合物の分離) 大問4:理論(電池) 大問5:有機 理論(アミノ酸) 大問6:有機 理論(アルコール) ※大問5と6は選択制 |
2020年 | 大問1:理論(結晶 溶解度) 大問2:理論 無機(アンモニア) 大問3:無機 理論(酸化物) 大問4:有機 理論(脂肪族化合物) 大問5:有機 理論(糖類 合成高分子) |
試験時間は90分で大問は5つです。各大問ごとの時間配分には十分注意しましょう。
全体として理論化学のウェイトが大きくなっています。無機化学や有機化学も理論化学と融合して出題されることが多いです。そのため理論化学は教科書に載っている知識は勿論のこと、その理論や法則を教科書に載っていいない物質や現象に関しても応用する力が求められます。
有機化学は無機化学よりは出題される傾向があります。
特に有機化学の中でも脂肪族や芳香族化合物と高分子(糖類、アミノ酸、合成高分子)で大問が2つ用意されていることがあります。高分子は教科書の最後の方で習うので理解や知識が薄くなりがちですがしっかりと固めるようにしましょう。
対策としてはまず教科書傍用問題集を繰り返し解きましょう。その後は重要問題集や過去問で演習を積み、計算力と知識の定着をはかりましょう。
物理
年度 | 問題構成 |
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2024年 | 大問1:力学 大問2:電磁気 大問3:熱力学 大問4:原子 |
2023年 | ー |
2022年 | 大問1:力学 大問2:電磁気 大問3:波動 大問4:総合 |
2021年 | 大問1:力学 大問2:熱力学 大問3:波動 大問4:電磁気 大問5:原子 ※大問4と5は選択制 |
2020年 | 大問1:力学 大問2:熱力学 大問3:波動 大問4:電磁気 |
試験時間は90分で大問は4つです。
試験範囲は力学、波動、熱力学、電磁気がベースですが年によっては原子も出題されています。苦手な分野を作らないように心がけましょう。
問題の難易度は標準的ですが、グラフや論述問題も出されるので公式の丸暗記は通用しないでしょう。
対策としてまず教科書傍用問題集を完璧にしましょう。先述した通り物理は大きく5分野ありますが、大問は4つなので不得意な分野があると出題された時痛手です。
まして、不得意な分野が2つあるとかなり厳しいものになるでしょう。
基礎を満遍なく固めたら過去問演習を積極的に行います。計算力が求められる問題もあるので立式や有効数字の扱いにぬかりがないようにしましょう。大問の序盤の問題を間違えるとその大問が総崩れになることもあるので計算力は絶対的に必要です。
生物
年度 | 問題構成 |
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2024年 | 大問1:細胞 遺伝情報 大問2:免疫 大問3:動物の反応 大問4:遺伝情報 核酸 大問5:植物の自家不和合性 |
2023年 | ー |
2022年 | 大問1:体内環境 大問2:細胞 遺伝情報 大問3:進化 系統 大問4:生態 大問5:植物の反応 |
2021年 | 大問1:代謝 大問2:生殖 発生 大問3:体内環境 動物の反応 大問4:動物の反応 大問5:植物の反応 |
2020年 | 大問1:遺伝情報 大問2:動物の反応 大問3:体内環境 大問4:遺伝情報 大問5:代謝 |
試験時間は90分dえ大問は5つです。制限時間がかなりタイトなので要領よくこなしましょう。
基本的に満遍なく出題されていますが、動物の反応や植物は毎年のように出題されています。動物の反応の中でも神経や筋肉の知識は学部に入って専門を勉強する上で絶対的に必要な知識なのでぬかりなく勉強しましょう。
難易度は標準的ですが論述問題や計算問題が多いので他の国公立大学の問題なども利用し練習するようにしましょう。他の科目は同じ大学の過去問を10年遡っても(少し傾向が変わっていることがありますが)基本的に問題はありません。
しかし、生物の場合は問題が古すぎると(15年とか)知識自体が古い可能性があるので、直近の生物の問題を解いた方が良いこともあります。前年度の国立大学の生物の入試問題を集めた問題集も販売されているので赤本青本に加えて活用すると良いでしょう。
論述問題は字数制限があることがほとんどなので、要点を押さえた記述が重要になります。まずは教科書や資料集を繰り返し読み知識を定着させましょう。
知識が入っていないと解答を読んでもどこが重要なのかわからないままになります。読んでいるだけでは知識の定着に不安がある場合は教科書傍用問題集を活用すると良いです。知識が固まったら先述した通りどんどん演習を積みましょう。
新課程による影響
新課程移行に伴い変更点が2つあります。
1:共通テスト
2024年度以前は社会(地歴または公民)の受験が必須でしたが、2025年度からは社会(地歴または公民)と情報の2教科3科目の中から1科目を選択できるようになります。
2:個別学力検査の数学
新課程になり旧課程と数学の区分が変化しました。山口大学共同獣医学科の個別学力検査では以下の範囲で出題するとされています。
- 数学Ⅰ:全範囲
- 数学A:場合の数と確率 図形の性質
- 数学Ⅱ:全範囲
- 数学B:数列
- 数学C:ベクトル
旧課程では出題されていた整数がなくなります。浪人や再受験の方は注意しましょう。
まとめ
今回は山口大学の一般選択の傾向と対策についてご紹介しました。
難易度は、標準的と言われつつも倍率がとても高いため過去問の傾向を掴んでいないと厳しいでしょう。
共通テストの利用が特徴的なので、英語の勉強戦略や社会と情報のどちらを重点的に勉強するかなど自分の得意・不得意をはっきりさせておくと良いですね。
べレクトでは全国の獣医系大学の現役獣医学生講師が志望校合格ために指導を行っています。獣医系大学は入試情報が少ないですがべレクトの講師もかつては受験生だったので自分たちの経験を生かしてアドレスをしています。
獣医に少しでも興味がある、獣医学部に行きたいけどどのような勉強をしたらよいのかわからない、という方はぜひ一度ご相談ください。