この記事は、ベレクトNEXT受講生にお話を聞き作成しました。
第76回不合格から、第77回で合格した既卒生です。
第76回では得点が合格点に全然足りず悔しい想いをしましたが、ベレクトNEXTに入塾して一年間勉強をし、第77回では必須8割ABCD7割を超えて余裕を持って合格できました。
今回は私なりに第77回がどのような試験だったか、また国家試験対策についてを浪人生の視点から振り返っていこうと思います。
第77回の試験結果を見て

獣医師国家試験は第74回から大きく難易度が上がっており、全体の合格率は第73回まで8割程度だったのが近年は7割程度まで低下しています。
今年の第77回も例に漏れず、合格率は68.4%と過去6年で最も低い数値となりました。
新卒生と既卒生の合格率も
過去3年間新卒生合格率は83~84%ですが、既卒生は40%程度だったのが今年32.4%にガクッと下がりました。ここで既卒生が全体の合格率を下げたのではないかと思う方もいると思いますが、この表はそれほど単純ではないと感じました。
ここでの新卒受験者数は卒業試験を合格した人数であり、実際の6年生の人数とは一致していません。毎年卒業試験で人数を絞って、合格率が維持されている可能性があることに注意が必要です。
国家試験の難易度をよく反映しているのが、むしろ既卒生の合格率だと考えます。
第74回以降、年々既卒者の受験者数が増加していますが、第76回まで合格率は40%程度でした。既卒生は毎年似た層が受験します。
合格率がガクッと下がった今年は、国家試験が本当に難化した年だったと思います。
第77回 試験全体の感触
試験問題の振り返りとして、まずは実際に受験して全体的にどのような傾向があったか考えようと思います。思いつくことを列挙していくと下記のようになりました。
- 時事ネタの問題が多い
- 馬に関する問題が多い
- 小動物臨床の問題が難しい
- 去年よりも初見でお手上げな問題が散見
今年はこれらがそのまま難化した原因だと感じます。
ランピースキン病、SFTS、エムポックス、馬インフルエンザなど去年のトピックが多く含まれていました。また、今年は午年ということで馬に関する問題が多く、馬の個体識別や開腹手術などこれまでの過去問ではあまり扱われなかった内容も含まれました。
さらに、衛生学系の出題が多かったと言われていた昨年の第76回とは対象に、今年は小動物臨床関係の一筋縄ではいかない難問が学説でも実地でも目立ちました。
各ブロックでいくつか普段の試験勉強ではカバーできない、いわゆるお手上げな問題もあり、それらが正解できなくても合格点に達することはできるものの、確実に受験生の得点を下げる結果につながったと考えます。
国家試験はもはやこれまでの過去問や授業では足りず、さらにアンテナを伸ばして情報収集をしなければならないものに変わっているようです。
各問題の振り返り
はじめにざっくりと今回の各ブロックの難易度変化を考えると次のようになりました。
- 必須:難化。細かい知識を問われる問題が増加。
- 学説A:易化。生化学、微生物学に難問があるが全体的に解きやすい方。
- 学説B:超難化。変態的な問題の海に極端に簡単な問題が数問プカプカ浮かぶ。
- 実地C:難化。第76回より一目で何かわかる画像が減少。トリッキーな問題が散見。
- 実地D:易化。最も解きやすいブロック。ただし数問だけ難問あり。
必須問題:難化
基礎的な知識を問う問題がしっかりある一方で、これまでの過去問では対応しきれず悩む問題が10問ほど存在しました。
この10問は35/50を得点しなければならない必須問題では非常に存在が大きく、当日のコンディションによっては危うい可能性があると思います。
特に動物介在療法(AAT)、眼科検査、牛の直腸検査、滅菌法の問題は獣医学生には慣れないところがあったかもしれません。
最近世間の関心が向いている動物虐待、SFTS、レジオネラ症、フェンタニルなど時事的なネタも含まれていました。
学説A:易化
ほとんどの問題は過去問をよく勉強した方なら解きやすい問題が多い印象でした。
時事ネタも少なめで、豚熱・アフリカ豚熱、カルバペネム系あたりしかありません。
しかしヌクレオチドの合成やコレステロール生合成の律速段階などが出題された生化学と、SARSコロナウイルスの感染受容体などが出題された微生物学は覚えていなければ解けない問題があり難しい印象でした。
試験中に特にびっくりしたのは馬に関する問題の多さです。
基礎系の科目が多い学説Aでも馬の下顎、消化器、中毒、個体識別など馬関連の問題がありました。来年は未年なので羊関連の問題が基礎系科目でも目立つ可能性はあるかもしれません。
学説B:超難化
ほとんどの問題が基礎的な知識範囲から一歩踏み込んだような内容を含んでいました。
特に中盤の小動物臨床の問題は聞き馴染みのない病名がいくつかあり選択肢を絞りにくい印象です。
時事ネタからは豚熱、NOx、類鼻疽、細菌性赤痢、エムポックス、牛ウイルス性下痢、馬インフルエンザが出題され、選択肢の内容も詳しく聞いてきました。
最近の動向を知らなければ選択肢を絞れず、教科書の内容だけでは苦戦を強いられたと思います。
馬問題は仮性皮疽、馬インフルエンザ、蓄膿症が登場しました。
学説C:難化
画像が何を示しているのか一目でわかる問題が第76回より極端に少なくなったと感じました。
見慣れない症例、組織像、器具、野生動物が出題され悩みやすい印象です。
またウイルスゲノムの問題は今年も出題されており、余裕があれば毎年カバーしなければいけないものになっているのかもしれません。
時事ネタでは特定保健用食品、ヤンバルクイナ、セアカゴケグモ、豚熱の経口ワクチンが登場しました。
学説D:易化
実地Cよりも比較的画像がわかりやすく最も解きやすいブロックだったのではないでしょうか。
口蹄疫の移動制限区域の問題などいくつか手も足も出ない問題はありましたが、基本的に過去問で勉強して頭を整理すればスルスルわかる問題が多いです。
また、時事ネタで今年必ず出ると予想されたランピースキン病がこのブロックで登場しました。
馬問題からは馬鼻肺炎が出題されました。実地Cと合わせて今回の馬の画像問題は蹄葉炎や浅指屈筋腱炎が出題されずヤマが外れた方も多いのかもしれません。
既卒生の国家試験対策について
最後に今後の国家試験対策についてと、浪人を経て自分のどのようなところが足りなかったのか考えて行こうと思います。
まずなんといっても、近年の国家試験は過去問の理解だけでは苦戦を強いられ、より多くの情報収集が必要だということです。
農林水産省のホームページや普段のニュースをチェック、あるいは周りの先生にどんなことが今注目されているかを聞き、時事問題に備えることが得点につながると思います。
前回受験した時の私もそこの情報収集が足りませんでした。
また浪人から合格して自分に足りなかったのは単純な知識量も少しありますが、それよりも「問題を解く力」だと感じました。
「問題を解く力」というのは、
- 問題の構造を理解する力
- 問題を処理する力
- なるべく本番の環境に慣れる力
- 問題と自分の相性をよくする力
です。
問題の構造を理解する
「問題の構造を理解する」とは、正答以外の選択肢が説明の並び替えだったり、選択肢に明らかに仲間はずれが一つだけだったり、◯◯は上昇するのが正しいとしたら誤っている選択肢では◯◯は下降するだろうなだったり、問題がどう作られているのか見抜くことです。
一つ一つ選択肢の正誤を判断するよりも問題の構造がわかると悩む時間も少なくすみますし、自信もって解くことができます。
問題を処理する
「問題を処理する」とは、悩みながらもなんとか答えを出すことです。
例年、難問や複数解、採点除外が出ます。それはどんなに勉強している人でも悩みます。
ですが制限時間内には解かなくてはいけません。自分の考えが合っているがとてもとても悩みますが答えを出すのも大きな力なのです。
また、血液検査の画像が出たらとりあえず高いか低いか矢印をつけていこうとか、レントゲンを見る時はまず主訴をよく考えてから見てみようとか、ある程度決まったパターンの問題が出たら自分はこうやって解いていこうと予め決めておくのも手です。
本番の環境に慣れる
「本番に慣れる」とは、なるべく本番に近い形式で過去問を解いたり、逆に本番の環境を先に作ったりすることです。
本番の国家試験ではマークが解答番号に「一」を書く形式です。私たちが全く慣れていないマークの方法で困惑することもあります。
過去問を解くときはノートに番号を振って本番と同じマークをしておくと、本番でいくらか緊張が和らぐかもしれません。その上で時間を測って解くと、マーク込みで自分がどれだけ時間に余裕が持てるかわかりやすくなると思います。
また勉強中に好きな音楽をかけるのもおすすめです。同じ曲を本番の会場で聴くと緊張がほぐれたり、解答中に焦っても曲を思い出せば一旦落ち着いたりすることもあります。勉強をするときのルーティーンを作ると国試会場でも普段通りに解くことができるのです。
問題との相性をよくする
「問題との相性をよくする」とは、最初に言った時事ネタです。
今回のランピースキン病も問題自体は簡単ですが、昨年のニュースを知らない方はなかなかピンと来なくてとても悩んだかもしれません。しっかりと情報収集をして確実に得点に繋げていきましょう。
ベレクトNEXTでは最初の半年間じっくり科目復習をし、その後画像対策や過去問演習、時事ネタ対策を個別指導でひとりひとりの勉強に合わせて想起学習しながら知識の定着を支えます。
それと合わせて、上記4つのポイントを押さえると効率的に自信をつけて学習できるかもしれません。
最後に
最後に、もし今年国家試験に落ちてしまった方がこの記事を見ていたら、伝えたいメッセージがあります。
絶対にあなたは獣医師になれる力があります。
目の前が真っ暗になった感覚がして、友達に置いて行かれたような気がして、来年も受かる自信がなくて、たくさん泣いたりしているかもですが、
ここまで大学受験、単位認定試験、vetCBTを合格してきたのはラッキーとかではなく積み上げてきた実力があるからです。これは絶対に覆ることのない事実です。
君はヒーローになれるし、予言にあった勇者です。忘れないでください。



