こんにちは、獣医専門オンライン予備校のベレクトです。
前回は、北大獣医の2年生前期の授業についてをご紹介しました。
今回は後半戦ということで、後期の授業を見ていきましょう。
北海道は11月に入ると雪がちらつきはじめ、12月には雪景色。
基本的に午前中が講義、午後が実習というスタンスなので、だんだん1限に行くのがキツくなってくるのもこの頃です、、、。
寒さに負けずに今朝も雪を踏みしめて学部に向かいます。
※2024年度の情報です
本文は獣医学生が書いた文章をそのまま掲載しております
授業内容
生理学実習
2年生のヤマは前期が解剖学実習、後期は生理学実習と言われています。
生理学実習では、前期に生理学の座学で習ったことを実際に実験で確かめます。
最初は緩衝液の作用などをやりますが、徐々に筋肉の収縮や神経の興奮、心拍数などを計測するようになり内容・技術ともに難しくなります。
理論は習ったけれども、実際はそれほど綺麗にいかないと度々感じました。
実習が終わったら毎回レポートを提出します。
レポートを書く中でデータのまとめ方や考察のポイントなどを身につけていきます。
小噺1
毎回レポートを提出すると書きましたが合計12回提出します。
1週間に2本を6週間やり続けるので、学年一同ヒイヒイ言っていました。
謎の連帯感も生まれます。
小噺2
実習はスムーズに成功すると時間内に帰ることができます。
でも上手くいかなかったら基本的に成功するまでやり直しです。
ある実習で夜の8時過ぎまでやった班がありました。
組織学(講義・実習)
組織学では、臓器や骨格、筋肉の顕微鏡レベルでの構造を学びます。
前期の解剖学では基本的に肉眼で見えるものを習いましたが、組織学では前期に肉眼で見ていたものが組織レベルではどのような構造をしているのか詳しく見ていきます。
前期で覚えたあの臓器もこの臓器も顕微鏡で覗くと別の顔を持っていて面白いです。
最初に顕微鏡を覗いた時は何が何の構造なのかサッパリ分かりませんでしたが、授業が終わる頃には友人とあれかなこれかなと議論できるくらいにはなります。
小噺3
組織学の実習の試験ではくるくる回ります。何をおっしゃっているのか。
教室に顕微鏡が40台用意してあって、そこにセットしてあるスライドが何の臓器なのか順々に答えていくのです。
くれぐれも解答欄をずらさないよう、、、。
小噺4
顕微鏡を使うのにどうやって予習復習をするのでしょうか。
実はバーチャルスライドというシステムがあります。
組織切片のスライドが全て電子化されていて、パソコンやタブレットで拡大して見ることもできます。
テスト直前にお互いにクイズを出し合う時にも便利です。
基礎免疫学
高校で生物を取っていた人ならざっくりと免疫について習ったのではないでしょうか。
高校生の時はなんとなく○○が○○して、、と覚えていたメカニズムですが、分子レベル様々な受容体や物質が関与していることを知りました。
獣医学なので動物に特徴的な免疫器官や免疫機構も習います。
鳥類や魚類の特殊な免疫器官の話が面白かったです。
小噺5
基礎免疫学は夏休み明けすぐに始まる授業です。授業が週1・4週間で終わってしまうので夏休みが終わって1か月もしないうちに試験があります。
ようやく夏休みボケから抜けられる、、?
実験動物学
実験動物学では、実験動物をベースに法規や手技、解剖、微生物、生理現象、遺伝学などを習います。
実は大学に入学するまでは、マウスとラットの違いすら知らなかったです。
各系統に由来があることも興味深かったです。
また、実験動物の種によって適する検査や実験があることも勉強になりました。
小噺6
授業の中では実験動物の感染症についても習いました。
全く聞いたことのないものだらけでしたが、実験動物の健康管理は製薬会社や企業において獣医師の重要な役割であることを聞き獣医師の分野の広さを改めて感じました。
基礎動物栄養学
基礎動物栄養学では、まず動物全般の栄養学について学習します。
同じ哺乳類とはいえ、ヒトとエネルギーの計算方法や、必須アミノ酸、必須脂肪酸が異なるそうです。
全般について習った後は、各動物ごとに特徴的な症状、注意するべき事を習います。
イヌ・ネコは似ているようで栄養学的に似て非なる動物であること、ウシに見られる特徴的な疾病、ウマに見られる疾病など実際に大動物や臨床に従事されている先生からお話を伺いました。
前期に習った生化学や生理学とのリンクも見られて、より理解が深まりました。
小噺7
筆者は獣医学生ですが、実家でイヌもネコも飼育したことがありません。
イヌとネコの食べるものがこんなにも異なるとは驚きでした。
私見ですがネコのほうが好みの食べ物の注文が多い気がしました。
流石はネコ様です。 もちろんイヌも大好きですよ。
生物統計学演習
統計学の授業は1年生の時に一般教養として受講していますが、学部に入ってからも統計学を習います。
学年が上がって論文を書く時はもちろん、実習でレポートを作成する際も統計学は必ず必要になります。
1年生の時は薄く広く習った印象でしたが、2年生になったらExcelでの統計検定を学びます。
練習問題も乳房炎や遺伝子の発現など獣医らしいトピックでした。
小噺8
1年生で統計学をやったとはいえ、2年生の後期になると忘れていることがほとんどです。
高学年になるまでにはマスターしたいです。(-_-;)
あまり扱いませんでしたが、Excelでできない検定は専用のソフトでやるそうです。
微生物学Ⅰ
いかにも獣医学部らしい名前の科目ですね。
微生物学Ⅰでは、まず総論として細菌とウイルスの基本的な構造や名称、増殖サイクルを習います。
後半戦ではウイルスの各論に入ります。「○○ウイルス科を5個書け」と言った問題が試験に出るのでみんな何とかして頭に入れます。
授業の折々で先生が時事ニュースやご自身のエピソードをお話してくださるので、
聞いていてとても興味深いですし、記憶に定着しやすいです。
小噺9
獣医学部の科目は基本的に丸暗記だと常々聞いていましたが、まさにそれを体現したような授業だったと思います。
テスト前はひたすら紙に書いたり、ブツブツ復唱したり、、。
同期と勉強していると人によって覚え方が異なり面白いです。
ちなみに私は書いてあった場所で記憶しています。あとはゴロ作り。
筆者はテストが近くなると学校に行って居合わせた同期と勉強しています。息抜きの外食も醍醐味。
小噺10
筆者がインフルエンザに罹って欠席の旨を先生に連絡した時、「どの薬を処方されたか」と返信が来ました。
タミフルですと写真付きで答えました。
基礎薬理学
基礎薬理学では、薬理学のイロハから入ります。薬の作用メカニズムや薬を投与する方法、創薬のプロセスなどについてです。
それからはひたすら薬の名前と作用について暗記していきます。
何となく聞いたことがある薬や実習で投与していた薬が、どこに作用していたのか知ることができたのは面白かったです。
皆さまに馴染みのある薬といえば酔い止めや抗胃潰瘍薬でしょうか。
小噺11
家にある酔い止め薬の裏面を見たら習った成分が入っていて、おっと思いました。
発生学
発生学では、生まれる前にからだがどのように形成されていくのかを学びます。
高校の生物でカエルとウニはやった記憶があるのですが、哺乳類は初めてです。
まずは受精卵から、体の基本的な構造(神経とか原腸とか)が作られていく過程を学習しました。
それから各臓器(心臓や尿生殖器、消化器など)の形成過程をやりました。
組織学や解剖学で見た構造が作られる由来を知ることで、そのダイナミックさに驚きました。
個人的には尿生殖器の発生が面白かったです。
小噺12
発生学は刻刻の変化を見ていくので、なかなかイメージがわきにくかったです。
YouTubeを活用して動画を見ると便利でした。
日本語検索をかけるより英語検索をかけた方がよくヒットしたので 少しだけ英語の勉強になりました。
放射線生物学
放射線生物学では、放射線の基本的な性質やその実用的な応用例について習います。
高校の物理でα線β線γ線の何たるやは習いましたが、生体への影響については初めて習ました。
放射線治療の原理や、よく言われている放射線のリスクを少しですが知ることができました。
関心が高いトピックだと思いますが、何よりも正しい知識と情報が重要だと思いました。
小噺13
癌についてもお話がありました。まずは健康的な食生活でリスクを押さえられるそうです。
大学生はとかく食事バランスが崩れてしまいがちなので、授業の帰りにスーパーで野菜を買いました。(‘◇’)ゞ
野菜が高いのは大学生にとってなかなか辛いですね。
勉強場所
北大獣医学生はどこで勉強しているのでしょうか。好みは人それぞれですが大まかに以下のようになります。
- 獣医の図書館
- 大学(全学)の図書館
- カフェ
- パソコン室
- 家
- 喋れる自習室
- 研究室(上級生の方)
獣医学部の中はもちろん、北海道大学全体の大きな図書館やラウンジもあるので勉強できる場所は沢山あります。
気分が乗らない日やリフレッシュしたい時は場所を変えています。
獣医学部は24時間入れるので夜遅くなっても勉強できる強い味方です。
まとめ
前回の記事と合わせて北大獣医2年生の授業を紹介してきましたがいかがでしたか。
獣医学部の勉強はタフですですが、その分非常に興味深いです。
まだまだご紹介しきれない面白いことや魅力が沢山あります。
志望校選びや受験勉強のモチベーション維持の参考になれば幸いです。