こんにちは、ベレクトNEXTです。
実験動物学は、研究に利用される実験動物に関する学問であり、解剖学、生理学、遺伝学、感染症学、繁殖学など多岐にわたる分野の知識を必要とします。
このページでは、獣医師国試「実験動物学」の勉強方法と大事なことを解説しています!
ぜひ参考にしてみてください。
実験動物学の勉強方法
1回に出題される実験動物学の問題は多くはありませんが、出題範囲は広いので、まとめの資料を使用して頻出部分を効率的に覚える必要があります。
また、実験動物の感染症に関しては細菌、ウイルス、寄生虫の知識が必要になる問題もあるので、該当分野の復習もしつつ覚えていきましょう。
実験動物学の勉強で大事なこと
主な実験動物とその特性
以下の項目を参考に暗記してください。
- 動物の分類(ex.スンクス:食肉目)
- 寿命(ex.マウス:2-3年)
- 解剖学的特徴(ex.ラット:胆嚢がない)
- 歯式
- 研究用途(ex.スナネズミ:脳梗塞モデル)
実験動物の繁殖
- 生殖周期(ex.モルモット:完全生殖周期)
- 性周期の判定
- 発情前期:有核上皮細胞のみ
- 発情期:角化上皮細胞のみ
- 発情後期:多数の白血球、有核上皮細胞、少数の角化上皮細胞
- 発情休止期:白血球と粘液
写真も合わせて確認しておいてください。
実験動物学の分類と関連用語
実験動物の遺伝学には様々な用語が登場します。
正確に用語の定義を覚えておきましょう。
- 遺伝的コントロールによる分類
- 近交系:兄妹交配または親子交配のどちらかのみ20 世代以上継続したもの。
- コンジェニ ツク系:特定の突然変異遺伝子をもつ動物を既存の近交系に世代を繰り返して交配し、突然変異遺伝子以外の遺伝子組成がその近交系と同一になった系統。
- 他にもあるので確認しておきましょう。
- 微生物学的モニタリング
- 無菌動物:検出しうるすべての微生物・寄生虫を持たない。
- ノトバイオート:持っている微生物叢の全てが明らか。
- SPF動物:指定された微生物・寄生虫を持たない。
- コンベンショナル動物:微生物学的制御がなされていない。
- マウスの主な疾患モデル
- KK:インスリン非依存型糖尿病
- NOD:インスリン依存型糖尿病
他にも様々な疾患モデルがありますが、出題頻度はそこまで高くはないので、覚えられる範囲で覚えましょう。
実験動物の主な感染症
- 細菌:細菌の種名、感受性動物、剖検所見(写真も合わせて)を覚えましょう。
- ウイルス:ウイルス科名、感受性動物、剖検所見(写真も合わせて)を覚えましょう。
- 寄生虫:実験動物学の問題として寄生虫による感染症が出ることはあまり無いので、寄生虫学の範囲でウサギや齧歯類に感染する寄生虫を覚えておけば大丈夫です。
第76回試験の実験動物学について
今年の試験ではどうだったか(傾向や難易度など)
今年の試験では、全体で実験動物学の問題は5題出題されました。
難易度としては、例年通りだと思います。
来年の予想、対策ポイントなど
近年の傾向として、B問題に主な実験動物とその特性が出題されています。
頻出の部分を中心に覚えておきましょう。
また、C,D問題では、感染症の剖検写真が出題される可能性が高いです。微生物の性状や感染症の症状と併せてしっかり覚えておきましょう。
実際に出た問題を一問解いてみよう!
第76回B問題
a 乳頭は1対である。
b 自然排卵動物である。
c 偽好酸球を持つ。
d マクロライド系抗菌薬の経口投与は合併症を生じる。
e サリドマイドに感受性がない。
1.a,b 2.a,e 3.b,c 4.c,d 5.d,e
解答:4
解説:
a:ウサギの乳頭は4〜5対
b:ウサギは交尾排卵動物
c:ウサギの好中球は顆粒を持つため、偽好酸球と呼ばれる
e:ウサギは催奇形性試験や皮膚刺激性試験の研究に使用される
その他のウサギの特徴
- アイランドスキン:島状の脱毛(皮膚の区画によって毛周期が異なるため)
- 食糞行動(栄養の再吸収)
- 盲腸が長い
まとめ
実験動物学は問題数は多くないですが、要点を抑えて効率よく覚えれば得点源になります。
暗記する部分を迷ったら、過去問を解いて頻出部分を重点的に覚えましょう。
この記事は、獣医師のとね先生が執筆しました。