こんにちは、ベレクトNEXTです。
獣医師国家試験において組織学は多くの問題が出題される傾向にあり、かつ出題範囲はとてつもなく広いうえにかなり細かな内容まで問われる分野になります。
基本的にA問題の最初に出題されることが多いため、ここをスムーズに解答できると以降の問題にも落ち着いて取り組むことができるはずです。
このページでは、獣医師国試「組織学」の勉強方法と大事なことを解説しています!
ぜひ参考にしてみてください。
組織学の勉強方法
- 文字だけではなく必ず画像とセットで勉強する
- 顕微鏡を通してみる世界であることからミクロな視点に変える
- ある程度のポイントに絞ることも大切
組織学に出てくる単語は他の分野とは異なり、日常生活の中で耳にすることはほとんどないものばかりとなります。
よって文字だけを見てもイメージすらできず難しい場合が多いため、必ず教科書や授業の資料等に記載されている顕微鏡下での画像とセットで勉強するようにしましょう。
なお、繰り返しになりますが、組織学は動物の器官がどのような細胞の集まりでできているのかという、とても細かい世界を学習する分野であることからミクロな視点を持つようにしましょう。
また、暗記量が膨大なことも組織学の特徴の一つとなりますが、全てを暗記するのではなくある程度のポイントに絞ることも必要になります。
組織学の勉強で大事なこと
丸暗記をするのではなく理論とセットで
なぜそのような構造になっているのか、を考えてみることが大事です。
組織学は今まで耳にしたことない単語が数多く出てくるため、丸暗記だけではなかなか覚えることができません。
また、その組織がその細胞から成立していることには必ず意味があるため可能な限り、暗記の前に理解してから学習を進めるようにしてください。
例えば卵管や細気管支は「単層線毛円柱上皮」という上皮から成立していますが「卵子や粘液などを運ぶことができるように線毛が存在している」と、まず理解をすれば暗記をしやすくなるでしょう。
画像も大切
正常な構造を単語だけではなく、必ず画像とセットで暗記しましょう。
組織学は組織や細胞の正常な構造・配列などを学ぶ学問ですが、それとは逆に異常な構造・配列などから疾患の病態や原因を解明する学問が病理学となります。
病理学も国家試験において出題される問題数が多い分野ですが、組織学において正常な構造を単語と画像をセットで暗記しておくことで、病理学における異常所見の理解や暗記をスムーズに行うことができるでしょう。
たまに出てくる種差に注意
種差による違いは必ず暗記しましょう。
解剖学と比べて数は多くありませんが、組織学においても動物間の種差によって構造に違いはあります。
この種差というのは国家試験を出題する側にとっても問題として出しやすく、毎年必ずどこかの分野にて出題されていることから暗記することが膨大な組織学においても押さえておくことをおすすめします。
全てを覚えるのではなくポイントに絞る
ミクロな正解であると割り切る事が大事です。
組織学は顕微鏡下でしか見ることのできないミクロな世界を勉強する分野であるため、とことん追求してしまうと限りがない学問になってしまいます。
よって国試の対策中はある程度ポイントに絞って勉強するようにしましょう。
第76回試験の組織学について
今年の試験ではどうだったか(傾向や難易度など)
今まで出題されなかった内容と確実に正解をとるべき内容とがランダム化して出題されていることから、難易度は例年通り~やや難と考えられます。
A問題に集中して出題され、解剖学と合わせると昨年同様11問出題されました。
来年の予想、対策ポイントなど
例年通り、幅広い分野からの出題があることが予想されます。
繰り返しとなりますが組織学は日頃、耳にすることがない単語ばかりかつ暗記量が膨大な分野となるため、全て覚えようとするのではなくある程度の範囲に絞って勉強するようにしましょう。
実際に出た問題を一問解いてみよう!
第76回A問題
固有食道腺は主に漿液細胞から構成される。
b 馬の胃のヒダ状縁は幽門部にある。
c 牛は盲腸膨起がある。
d 犬は総肝管をもたない。
e 副膵管は胎子の背側膵芽の導管に由来する。
1.a, b 2.a, e 3.b, c 4.c, d 5.d, e
解答:5 (d, e)
解説:
a 固有食道腺は漿液細胞だけで構成されているわけではない混合腺 であり、以下の細胞からなります。
・粘液細胞(主成分):粘液(ムチン)を分泌 し、食道粘膜を保護する。主に粘液性の分泌が多い ため、漿液腺よりも粘液腺の特徴が強い。
・漿液細胞(少数):一部に漿液細胞を含むが、主体ではない。粘液細胞に比べると割合が少ない。
よって誤り。
b 胃におけるヒダ状縁(plicae marginales) は、馬の胃の「腺部」と「無腺部」の境界に存在するヒダ状の構造 となります。 よって誤り。
c 盲腸隆起 がある動物はウサギであり、回盲口(小腸の回腸と盲腸の接合部)付近に存在します。
よって誤り。
d 犬には総肝管は存在せず、「肝管」と「胆嚢管」が合流し、すぐに総胆管を形成しており、肝管が直接総胆管に流入します。よって正解。
e 膵臓は背側膵芽と腹側膵芽の2つの原基から発生し、背側膵芽 は主に膵体・膵尾を形成し、その導管が 副膵管となります。腹側膵芽 は膵頭部を形成し、その導管が主膵管 となります。よって正解。
まとめ
組織学はA問題のみならば単語の丸暗記のみで解答できると思いがちですが、なぜそのような構造になっているのか考えてみながら勉強することでよりスムーズに暗記が可能となる分野となります。
また、画像とセットで暗記することで病理学が勉強しやすくなると共にC,D問題での異常所見も正しい選択肢を選びやすくなるということも覚えておきましょう。。