こんにちは、ベレクトNEXTです。
獣医師国家試験において外科学は内科小動物学と並んで出題数がかなり多い分野であり、必ず押さえておきたい科目の1つとなります。
さらに国家試験に合格した後、小動物医療を志す人にとっては特に外科学で勉強した内容は実際の臨床現場にて役に立つこともあるでしょう。
出題傾向としては年々難しくなってきてはいますが、勉強方法の基本はあくまで同じであり、基礎から応用までしっかりと解答できる力を身につけるようにすることが大切です。
このページでは、獣医師国試「外科学」の勉強方法と大事なことを解説しています!
ぜひ参考にしてみてください。
外科学の勉強方法
- 基礎系科目を正確に覚えて、理解する
- イメージをしやすいように解剖学を頭に入れつつ、正常な状態の画像(X線や超音波,CT,MRI)をセットで暗記する
- 疾患を、発症病態まで理解することで、画像から病変を読み取る力を身につける
外科学は解剖学や生理学などといった基礎系の分野を理解できていないと、ただ疾患名を丸暗記するだけとなってしまいます。
よって基礎系科目の理解と暗記ができていない場合は、まずはそちらから学習するようにしましょう。
また、実際の国家試験では症状と共にX線検査やMRIなどの画像所見が記載され、最も疑われる疾患・病態並びに治療法などを選択する問題が非常に多く出題される傾向にあります。
これらのことから外科系疾患として頻出の筋骨格系においては特に解剖学と共に正常な状態の画像をセットで頭の中に入れておき、どこが病変となるかを読み取る力を身につけることも重要となります。
外科学の勉強で大事なこと
まずは基礎系科目(解剖学、生理学、薬理学)を確実に!
外科学をただ丸暗記するだけではなく応用力も身につけて理解するためには、これらの基礎系科目は必ず必要な分野となります。
出題数がかなり多いことから、つい外科学からとりかかってしまう気持ちは理解できますが、まずは土台となる基礎系科目の理解と暗記からとりかかるようにしましょう。
外科を学習していくと、暗記したつもりの解剖学・生理学・薬理学的な側面を補いながら復習も一緒にしましょう。
曖昧な点をそのままにしない
外科学で曖昧な点があれば、まずは基礎に戻りましょう。
外科学の勉強を行っていると、骨や筋肉、麻酔薬などについて自身の記憶が曖昧となっている部分が出てくることもあるでしょう。
この曖昧な部分をそのままにはせずに必ず基礎系科目に戻り、改めて理解と暗記を深めておくことが国家試験合格の道へと繋がることを忘れないようにしてください。
画像・問題文から解答につながる情報を入手する
画像には必要な情報が盛りだくさん
外科学のC,D問題においては細胞診画像、X線画像、超音波画像、MRI画像など症状に加えて様々な画像所見が記載されており、これらの所見から異常を読み取る力が必須となります。
そのためには、まず正常な画像とはどのようなものかを理解しておく必要があります。
授業などで使用したスライドや教科書などに記載されている正常画像を先によく見ておくようにしましょう。
また、画像所見なども、なんとなくで理解するのではなく、病態生理を理解しておけば言語化して学習できると思います。
そうすると、本番の問題も解くことができるようになると思います。
文章からキーポイントを読み取る
C,D問題においては、必ずといっていいほど症状に加えて問題文の中に種、性別、年齢などの情報が記載されています。
これらは疑われる疾患・病態を鑑別するための非常に重要なキーポイントとなることから、読み飛ばさないようにしてください。
早く問題を解こうとして文章をよく読まずに画像所見だけを確認してしまうと、誤った解答を選んでしまう危険性があります。
逆に考えると、文章中のキーワードと疾患を結びつけることができるまで、それぞれの疾患を理解する必要があると思います。
臨床に立ちたい方でしたら、あらゆる情報から鑑別疾患リストを頭に思いつく必要があると思いますので、是非今から理解しておきましょう!
疾患名や治療法を丸暗記しない
疾患とその治療法を理論づけましょう。
D問題では第1問目が疑われる疾患・病態、続いて第2問目は、その治療法とがセットになって出題される傾向にあることからどちらも正解することが得点アップに繋がります。
ただ、外科学に含まれる疾患と治療法の数は膨大となるため、ただ丸暗記をすることはおすすめできません。
もちろん術式名や固定法名などは暗記する必要がありますが、それら以外は病態をよく理解してから治療法につなげる理論的思考にて学習を進めるようにしましょう。
第77回試験の外科学について
今年の試験ではどうだったか(傾向や難易度など)
一部難しい問題もありましたが、全体として代表的な問題が多い印象でした。
ですが、全体としてマニアックな出題は多くなく、難易度に関しては例年通り、もしくはやや難と思われます。
必須問題からD問題まで全問題において出題されました。
来年の予想、対策ポイントなど
例年通り、幅広い分野からの出題があることが予想されます。
基礎系科目においてしっかり理解・暗記を行った上で、問題文から必要な情報を読み取ると共に画像所見からどこが異常かを判断する能力を培っていきましょう。
一対一のように過去問を解くような、表面的な理解で終わらせないようにしましょう。
実際に出た問題を一問解いてみよう!
第77回 A問題
1.環椎軸椎不安定症
2.肩関節内方脱臼
3.股関節頭背方脱臼
4.肘関節外方脱臼
5.足根関節脱臼
解答:3
エーマー吊り包帯法(Ehmer sling)は、小動物(犬・猫)における股関節の背方脱臼(頭背方脱臼)の非観血的整復後に行われる固定法です。
- 目的と機序
- 大腿骨頭を臼蓋内に保持するために、後肢を屈曲・内旋・内転位に保持(大腿骨頭を内方および前外方へ押し込む力)して固定します。
- その他の選択肢の固定法
- 肩関節脱臼(2): ベルポー吊り包帯法などが用いられます。
- 足根関節・肘関節の固定(4, 5): バンデージロバート・ジョーンズ・バンデージ等)による外固定が用いられます。
今年の国試対策で押さえておきたい「新出題基準」まとめ
分類・疾患名の追加および名称変更のまとめ
1. 循環器系(V)
- 追加された疾患
- 腹膜心膜横隔膜ヘルニア
- 特発性心膜液貯留
- 肺高血圧症
- 肺血栓塞栓症
- 動脈血栓塞栓症
- 子宮動脈破裂
- 詳細化(心筋疾患の再分類)
- 拡張型心筋症 / 肥大型心筋症 / 拘束型心筋症 / 不整脈源性右室心筋症 / 分類不能型心筋症
2. 消化器系(VI)
- 追加された疾患
- 第四胃拡張症《子牛》
- 消化管好酸球性硬化性線維増殖症
- 蛋白漏出性腸症
- 炎症性結直腸ポリープ
- 原発性門脈低形成
- 胆囊粘液囊腫
3. 泌尿器系(VII)
- 追加された疾患
- 蛋白漏出性腎症
- 尿路感染症
4. 繁殖・生殖器系(VIII)
- 追加された疾患
- 精巣逸所症
- 膀胱反転・膀胱脱出
5. 運動器系(IX)
整形外科領域が大幅に拡充されました。
- 追加された疾患
- 関節・骨疾患: 側副靱帯断裂、半月損傷、前十字・後十字靱帯断裂、骨軟骨異形成症
- 爪・蹄疾患: 爪の疾患、趾皮膚炎、白帯病、趾間過形成、蹄膿瘍
- 病名の変更
- 旧「レッグペルテス病」 ➔ 新「虚血性大腿骨頭壊死(レッグ・カルベ・ペルテス病)」
治療・処置の名称変更
- 心肺蘇生法
- 旧「心臓マッサージ」 ➔ 新「胸部圧迫」(※国際的ガイドラインに準拠)
- 疼痛管理
- 旧「先取り鎮痛とマルヂモーダル鎮痛」 ➔ 新「予防的(先制)鎮痛とマルチモーダル鎮痛」
まとめ
外科学は単に疾患名とその治療法を丸暗記するのではなく、基礎系科目をしっかり理解した後の応用問題ということもできるでしょう。
問題として提示される症例についても、焦らずに一つ一つ理論づけて考える練習もしておきましょう。


