こんにちは、ベレクトNEXTです。
獣医師になる上で、解剖学と並んで生理学は非常に重要な科目です。
解剖学が動物の体の「構造」を学ぶ学問であるのに対し、生理学は体の「機能」を学ぶ学問です。
生理学を深く理解することで、動物の健康を維持し、病気の診断や治療を行う上で、より的確な判断を下すことができます。
このページでは、獣医師国試「生理学」の勉強方法と大事なことを解説しています!
ぜひ参考にしてみてください。
生理学の勉強方法
生理はまとめ資料を使いました。
私の通っていた大学の生理の授業はかなりひどく、まとめ資料に頼っていました。
生理も解剖と同様範囲が膨大で奥が深いので、国試で出やすいところを中心に勉強していきましょう!
生理学の勉強で大事なこと
生理が分かって、初めて病気が分かる
病態を知る近道
生理学的な知識があれば、ある症状が出現する原因を、体の機能の異常と関連付けて考えることができます。
例えば、呼吸困難に関与していることとして、循環器に問題があることもあれば、肺自体に問題があること、さらには神経に問題があること等様々な原因が考えられます。
病態を理解する上で生理の理解は不可欠です!
内分泌を克服せよ!
内分泌ってめっちゃ大事なのに、分かりにくい・覚えにくいからといって敬遠される傾向がございます。
克服しないと、病態生理も薬理も臨床も丸暗記になる悪循環が始まります。
いまこそ内分泌を克服せよ!!
体の恒常性維持
血糖値のコントロールや胃の運動を制御するなど、多岐にわたって内分泌が関与しております。
手術の安全性
手術を行う際には、生理機能に与える影響を予測し、安全な手術計画を立てる必要があります。
心臓の仕組みは必須!
心臓の電気生理学
心臓は、電気的な刺激によって収縮を繰り返しています。
この電気的な活動の仕組みを理解することは、心臓の働きをより深く理解するために不可欠です。
心音の理解
心臓の運動に関わること
フランク-スターリングの法則や心筋の収縮連関等はとても大事です!
酸塩基平衡を極めよ
大事なのに、わかりにくくてとっつきにくい生理学の単元は盛りだくさん…。
酸塩基平衡も少しわかりにくいですよね…。
そんな時には YouTube『ゴロー/イラストで学ぶ身体の仕組み』がおすすめです。
ご参考にしてみてください!
第76回試験の生理学について
今年の試験ではどうだったか(傾向や難易度など)
難易度に関しては、例年通りと考える。傾向はA問題に集中して出題され、今年は10問出題された。(生化学と一部内容が被る部分もあります。)
来年の予想、対策ポイントなど
内分泌学、神経学、感覚器学、生殖生理学、呼吸生理学あたりが例年出題されている印象をうけております。この辺りは特に重点的に勉強しましょう!
実際に出た問題を一問解いてみよう!
第76回A問題
1.電位依存性 Na+チャネル
2.電位依存性 Ca2+チャネル
3.リアノジン感受性 Ca2+チャネル
4.ニコチン受容体
5.グルタミン酸受容体
解答:4.ニコチン受容体
神経からの信号が筋肉に伝わり、筋収縮を引き起こす最初のステップが、神経筋接合部で発生する終板電位(EPP)です。
この現象は、以下の流れで起こります。
- 神経からの電気信号が到着 運動神経の末端に、脳や脊髄からの電気信号(活動電位)が到達します。
- カルシウムイオンが神経に入り込む 神経終末に活動電位が来ると、そこにある特別な通り道(電位依存性カルシウムチャネル)が開きます。すると、神経の外にあったカルシウムイオン(Ca2+)が神経終末内に入り込みます。
- アセチルコリンが放出される 神経終末に入ったCa2+の働きによって、袋に包まれた神経伝達物質であるアセチルコリン(ACh)が神経終末の膜と融合し、シナプスの隙間(シナプス間隙)に放出されます。
- アセチルコリンが筋肉の受容体にくっつく 放出されたAChはシナプス間隙を素早く移動し、筋線維の表面(特に終板と呼ばれる場所)にあるニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)に結合します。この受容体は、AChが結合すると開くイオンチャネルの働きも持っています。
- 筋肉にナトリウムイオンが流れ込む AChが受容体に結合してチャネルが開くと、主にナトリウムイオン(Na+)が筋細胞の中に流れ込みます。筋細胞の中は普段マイナスの電気を帯びているため、プラスの電気を持つNa+が流れ込むと、その場所の電気的な状態が変化します。
終板電位(EPP)の発生 Na+が流れ込んだことで、筋線維膜の終板部分の電位が一時的にプラスの方向に変化し、脱分極が起こります。
この局所的な脱分極が「終板電位(EPP)」です。
まとめ
生理学は、動物の体の機能を理解するための基礎となる学問です。
生理学を学ぶことで、獣医師は、病気の診断、治療、予防、そして動物の健康管理においてより専門的な知識と技術を身につけることができます。
この記事は、獣医師の鈴木先生が執筆しました。